原稿用紙とワードプロセッサ、方眼紙とタッチパネルマッピング(『世界樹の迷宮』レビュー3 マッピング編)

世界樹の迷宮』レビュー3回目です。
日記の内容がレビューまがいになったのが一つあって
それもレビューのカテゴリーから行けるようにしたりはしましたが
レビューは基本ネタバレなしで読めるのを信条にしてるので
純粋なレビューは3回目です。
一応プレイ日記よりメインのコンテンツのはずですが
毎日かけないので押され気味です、がんばります。


今回は前回同様、魅力不安の項目に対して
実際にやってどう思ったかの続きを書いていこうと思います。
というわけでマッピングに関して。
マッピングで考えてたことがユーザビリティに直結しているので
ある程度それと話が被りますが、『世界樹の迷宮』の目玉なので
それだけをクローズアップして膨らませたレビューをしてみます。


DSのタッチペンを使ってマッピングができることが
世界樹の迷宮』の大きな魅力であることはよく喧伝されています。
実際に『世界樹の迷宮』のマッピング機能が非常によく練りこまれていて
使いやすい物であることは以前に書きました。
3Dダンジョンとマッピングの楽しみについては、
プレイ日記の31回にちょろんとあります。
# そのうちマッピングの楽しみについてはもっと詳しく書きたいかも。


じゃあ、3DダンジョンRPGにとっての手書きマッピングを超えて
秀逸なインターフェイスで行うマッピングとは
世界樹の迷宮』にとってなんなのか、ということを考えてみる。


世界樹の迷宮』におけるマッピングの最大の利点は何かというと
それはにも書いたけど書き直しにあるんじゃないかと思う。


床を塗る、壁を引く、イベントなどのアイコンを配置し、メモを入れる。
これらは全部、本来は手書きでやっていたことを
規定のパターンに置き換えただけの作業である。


お手軽にできる反面、手書きとは違い多少の融通も利かない。
もちろん個人の癖はそれでも色々とあるし
ダメージ床は床塗りをなしにしようとかの工夫もできれば
行き止まりでもう行かない所のマップを消して見やすくしようとか
あえて嘘のマップを書いてみようとか
従来の機械的なオートマッピング機能以上のことはできる。


これだけでも、自分で描くという手間はできたものの
今までのオートマッピングをはるかに越えた
立派に自分で作るマッピングであり自分だけのマップにはなる。
世界樹の迷宮』のマッピングはきちんと自分で描けるマップであり
オートマップのような、完成を目指して画面を塗る塗り絵ではない。


でも、これだけならまだ、お手軽になったけど
情報量が減っただけの手書きマップ未満のものだ。


しかし、書き直しになると話がちょっと変わる。
方眼紙にチマチマ書くのを修正するのって、
実はすごくめんどくさい。


鉛筆で書いたものを消しゴムで消しても
どうしても綺麗には消しきれないし。
余計なものまで消しちゃったりもするし
さらにその上に書きなおしたらもうぐちゃぐちゃだ。
色分けしてると修正液で直さなくちゃいけなくなってさらに悲惨に。
メモを加えるにしても、気軽に書くスペースがなかったり
必要なくなったから、ハイ削除、というわけにも行かない。


それが『世界樹の迷宮』になると一変する。
間違えたってすぐに書き直せるし
何度やり直したって汚くなったりしない。
メモもイベントアイコンも、とりあえず今だけ置いていても
要らなくなったらすぐ捨てられる。
常にマップは自分の見たいままに綺麗にできている。


これこそが手書きで苦労してマッピングしていた人間にとっての
世界樹の迷宮』のマップの最大の魅力だ。
清書までして求めた完成された自分のマップがそこにある。
# わざわざ清書したマップとかになると、メモとかで汚すのも気が引けるから
 # それをさらに弄ったりとかはし難くなるし。
 # 付箋だとはがれてどこいったか判らなくなったりするし……。


この『世界樹の迷宮』のマッピングとは、つまるところ何かというと
原稿用紙に対するPCのテキストエディタワープロのようなものだと思う。


PCのエディタなんかは手で書くよりずっと疲れずに
慣れさえすれば手で書くよりも早く書ける程簡単に文章が書ける。
でも、いくつかの決まったフォントを決まった行に並べるだけで
紙の上に書くような自由自在さはない。


これは私だけかもしれないけど、
私はテキストエディタの一番の魅力は
やはり書き直しや編集がずっと便利に出来るところにあると思ってる。
原稿用紙の汚れを気にせず好きに消したり
こっちの文章をカットして、あちらにペーストしたり
そういう作業の時にこそ本領を発揮するものだ。


そんなわけで
方眼紙に変わる『世界樹の迷宮』のタッチパネルマッピング魅力とは
つまる所、原稿用紙に変わるワープロの魅力と同じ物で
そのやや融通の利かない所なども合わさって
かなりの同一性があるんじゃないかと思います。


世界樹の迷宮』のマッピングを実際に触ってみて思ったのは
そんなことだったりしました。


なお、他の魅力としては
常に下の画面にあるので参照しやすい。
自分のマーカーが表示されるので迷わないとかあります。
# もっとも、この自分のマーカーはない方が好み
 # という思いもあるから魅力だけには挙げ難い。


このような意味でも『世界樹の迷宮』のマッピング
一見単に回顧的な手書きのマッピングを復活させただけに見えて
実は、上で書いたようにオートマッピングで失われた不可能な要素を加え
手書きでは難しかった修正を自由にした
ハイブリッドで最先端にあるマッピング技術であるわけです。


個人的な要望としては、メモが20個だとどうしても足りないので
メモに使える字数と共にもっと増やして欲しいし
せっかく文字自体はあるんだから、ゲーム中で使っている
漢字や記号等も使えるようになったらいいなと思えます。
後は、床やアイコンの色変えとか。

さらに欲を言えば、手書きでの本当の自由も加えるために
タッチペンでフリーハンドでかけるレイヤーをマップの上に載せて
同時に見れるようになったりすると最高なんじゃないかと思いました。
ピクトチャットの画面をさらに重ねる感じですかね。


世界樹の迷宮』の続編があったら、もっと進化した
マッピング機能になってるといいですね。


余談。
最近『世界樹の迷宮』のマッピング画面をドットに見立てて
世界樹の迷宮』のキャラを再現されていたりして
まるでピクロスみたいにして遊んでる画像を見かけたりしました。
こういう使い方もできるのは最高に面白いなと感じたり。