イメージ先行デザインの弊害(『世界樹の迷宮』レビュー11 レンジャーの問題について)

3色ドラゴンは倒したので先に進めるわけですが
パラディンがLV下がったしスキル取りが赤竜用にガチガチなので
さらにもう一度休養させてスキルを最適化することに。
でもって、さすがにLV40だと不安なのでリハビリ。


ので日記が進まないので、
適当にクラスに関してのレビューをボツボツと。


クラスのバランスで、多分最も不遇なのは
ブシドーで間違いないと思うが
個人的に最も失敗しているのはレンジャーの
クラスデザインじゃないかと思う。
# レンジャーが強いという問題だけではない。


ブシドーの弱さはあくまで
システム面での不遇やバランス調整の失敗という範疇だが
レンジャーの問題はクラスデザインの段階で
すでにコンセプト上の問題が内包されている厄介さがある。


それは、レンジャーのデザインが
ゲームの整合性よりもレンジャーという
イメージ先行のデザインに
なってしまっている問題でもある。


このゲームのクラスデザインは基本的に
壁役・攻撃役・回復役・サポート役等の
# しかもサポート役もバッファーとデバッファーが綺麗に分かれている。
それぞれのクラスの役割がかなり厳密に割り振られていて
ほぼ専業のキャラを組み合わせて行くために
どの役割のキャラも、それぞれの役として需要がでるという構造になっている。


基本的にこのゲームはまず、パーティ内での専業的な役割があり
それぞれのコンセプトに沿ってスキルが組み立てられ
それに合わせて職が置かれるというデザインになっている。


パラディンアルケミスト等も
それぞれのクラスイメージがあって、
それに合わせて役を割り振った、というよりは
必要とされる役割とスキルに合って
なおかつ『世界樹の迷宮』の世界観に合ったクラスを
その上に被せられているに過ぎない。


さて、ではレンジャーの役割はなんだろうか?
レンジャーはf.o.e.にまで有効な先行ブースト/ブロックに
アザーズステップ・トリックステップついでにファーストステップと
戦況をがらっと変えられるサポートスキルを備えている。
# 何気に、バッフスキルとデバッフスキルの両方もある。


そして、強力な突攻撃である
サジタリウスの矢等の一連の攻撃スキルによって
メインの攻撃役もできる。


さらには、3種類の収集スキルを一人で取る事で
金稼ぎ用のキャラとしても活用できるし
探索用のスキルも充実している。


つまり、レンジャーは主に3役がハイブリッドに混ざった
クラスになっているといえる。


もちろん、パラディンのシールドスマイトや
メディックのヘヴィストライクなど、
他のクラスにも本来の役割とは別の方向性のスキルも用意されているが
それはレンジャーのそれぞれのサポートや攻撃スキルのように
バリエーションに飛んだ充実ぶりはなく
専業に対しての味付けくらいの範疇に収まっている。
# 次に言うスキル取得の面に対してもレンジャーよりずっときついし。


そして、これが問題を厄介にするのだが
本来であれば、スキルポイントの圧迫や装備の制限により
ハイブリッドなスキルの取得には無理がでるのだが
収集系スキルはそれをメインキャラが持つ必要性がほとんどないにもかかわらず
それがスキルポイントを圧迫する事を考慮されたためか
サポート・攻撃系のスキル取得条件が甘く、無駄なスキルが少ないために
レンジャーは一人で主要なサポートと攻撃スキルを取りきれてしまうのである。


他のクラスの専業制のしっかりとした分化に比べると
このレンジャーのクラスデザインの迷走具合は際立って悪い。


他があれだけ綺麗に分かれてる事から
当初からサポートと攻撃役に収集もできる役割を想定して
レンジャーというクラスのデザインをしたとは考え難い。


では、何がこんな自体を生んだのか、というと
それはレンジャーに限っては
クラスのイメージから逆にスキルなどの構成を
弄りなおしたのではないか、としか考えにくく
イメージ先行デザインの弊害が発生してしまったように思う。


これに、影響を与えた問題としては
ゲームでは斬・打・突と攻撃属性が3つに分かれているのだが
この配分がクラスの役割分担というデザインとは別に
クラスのイメージでのみ配分されているという事がある。
# 状況的に役割分化後に攻撃属性の仕様が固まったのではなかろうか。


主な武器攻撃役としてソードマン・ダークハンター・ブシドーをみると
それぞれのイメージで攻撃が割り振られてしまった感じで
斬ばかりで被ってしまっている一方で
突攻撃を担当するのは余りいないため
突攻撃スキルの担当を他に求めることになったのではないか。


そのため、採取・探索にサポートという役割が
本来の役だったのではないかと想像するレンジャーに
さらに突攻撃担当役まで受け持つ必要を生じ
一通りの突攻撃スキルまでそろえる事になってしまったのではないかと思う。
# バードとどちらか、と言うならレンジャーになるだろう。


この段階でスキルの方向性が多用になり
スキル数も増大した調整を受けて
レンジャーからは無駄スキルの削減もあったのではないか
とも推察できる。


結局は、攻撃属性のイメージ先行によるデザインが
レンジャーというイメージと交じり合った結果
収集・探索とサポートに突攻撃役という
ハイブリッドな上に無駄が少ないクラスを
生む結果になってしまったと思われる。


そして、もう一つのこの問題を悪化させたのは
よりによってその攻撃属性の突は弓であったために
後列からも自在に攻撃できる攻撃役という特性を
さらにレンジャーに与える事になった処にもある。



上記の経緯的にはあくまで想像の範疇だが
結果としてレンジャーのハイブリッド性能と
武器属性の配分の不均衡が
全体のクラスバランスを著しく壊している事は間違いない。

解決案

さて、ではいったいどうしたらよかったのだろうか。


レンジャー強すぎというのは
それなりの人が感じてるようで、
それなりに案が色々でているみたいではあるが
私は小手先のバランス調整ではこの問題は解決しがたいと思う。


結局は攻撃属性の配分がイメージ先行になっていて
バランスを崩壊させているという
ゲームデザインのコンセプト段階での問題が元凶なので
小手先のバランス調整は一面的に巧くいかせることもできるだろうが
他のバランスの崩壊を招く可能性が高い。


しかし、要は役割分担による専業化がしっかりできていれば
どの役割でも、それなりに必要性を生じるものなので
これに則ってレンジャーの役割をきちんと定義しなおすのが
最も確実に問題を修復できるはずである。


であるからし
レンジャーの役割から
収集・探索にサポートという役と突属性の攻撃役を、
きちんと分離するのがよい。


この際、直接攻撃役で斬が被っている上に
そもそも攻撃クラスが飽和してブシドーがあぶれた形にもなっているので
そこから突攻撃役に一人デザインしなおすのが
全体のバランス取りからも適切なのではないだろうか。
# 刀と弓スキルを武器によって使い分ける純粋な攻撃役とかがいいと思う。
# 武士なら弓に堪能でも問題は無いだろう、滋藤の弓とかもあることだし。


そして、レンジャーは収集・探索にサポートという特性を
もっと強化し、スキルの種類も増やすという形が
一番すっきりするのじゃないだろうか。


サポートとしては、バードやカースメイカー等の
純粋なバッファー/デバッファーはもういるからそれとの差別化も必要だし
サポが弱いと収集・探索をサブでやらされるだけのクラスになってしまう。
アザーズステップなどのトリッキーで効果的な事が
もっとできるクラスになるといいのだが。


或いはいっそ、どうせサブに任せられやすい
収集・探索スキルはハイブリッドになっても問題は少ないので
サポートスキルの方をばっさりカットして
レンジャーを突攻撃専門(と収集)クラスにする手もあるが
ただでさえ飽和気味の攻撃役争いが激化するのと
アザーズステップなどの面白いサポートが宙に浮いてしまう。