貪欲な神が支配する

とりあえず、実は事前情報をあんまり入れないようにしてるので
そんなに正確に把握してるわけじゃないんだけど
プレイ前での『世界樹の迷宮2』への所感を書いてみる。


世界樹の迷宮2』に期待してる事や
不安に思ってる事なんかは色々とあるんだけど
世界樹の迷宮2』では基本的に続編として
前作からの路線を踏襲するというので
とりあえずゲームとして心配な部分っていうのは実は少ない。


マッピングのアイコンやインターフェイスの問題など
ぱっと目に付くような所はたぶん潰してきてくれてるだろうし
1の段階でも細かい不満程度
プレイしていてそこまでストレスが多いという程ではなかった。


ゲームとしては、個人的に最重要の
テンポを悪くするような事さえなければ
問題なく楽しめるだろう、と思ってるし
そこは、まだ外してこないだろうという安心感はある。
この辺りは続編ならでは、という手堅さかな。


じゃあ、一番不安なのは何か、というと
実のところゲームバランスで
それもゲームバランスが悪いという事を心配してるのではなく
この仕様でバランスがもし巧く取れても
ちょっと問題がありそうだぞ、というそういう不安。


どういう事かというと、職業、クラス間のバランスが
前回は結構マチマチだったんだけど
今回は事前にざっと仕入れてる情報だと
かなりその辺りには気を使っている、という話を聞く。
なので、その辺りに失敗がなければ
どの職業もバランス取れてるんだろう
取れてるといいな、取れてるんじゃないかな。
ま、ちょっとは覚悟しておこう。


で、まあなんだちゃんとバランスが取れてるとして
それって、面白いの? そこで止まってないの?
というのが一番の不安。
つまり、バランスを取る事に終始するあまり
クラス間の意味がぼやけちゃってないかな?
という不安がでてくるわけだ。


以前に『世界樹の迷宮』の職業の話について書いた時に
その問題の根本原因の一つに、既に前作『世界樹の迷宮』の段階で
攻撃職が飽和していて差別化に無理がでているというのを
ちょろっと書いておいたんだけど
今回は、新職追加でその問題に関してはより厳しくなっているので
その飽和による弊害への不安はどうしても増してくる。


クラス間のバランスを取るには一番手軽な方法は
役割を明確に分担する事で重複する役割をなくす
つまりクラス数を減らすという方法なわけなんだけど
ゲームが続編として拡大再生産される中で
この方向というには、なかなか舵を切れない物がある。


じゃあ、ゲームとしての規模を拡大しつつ
その上でバランスにも気を配るとなると
これはどうしても「どれを選んでも大丈夫」という
非常に丸まったバランスに陥りやすく
そうなると、ゲーム性における一つの重要な要素
「選択」の価値が低下して
せっかくクラスが増えて見た目は華やかになっているのに
その内実では空虚になっている、という薄いゲームになりかねない。


とはいえ、このクラス規模の拡大とクラス間のバランスというジレンマは
ゲームをデザインするにあたってある意味一番の腕の見せ所なので
世界樹の迷宮2』において不安な側面であると同時に
どう仕上がってるのかなと大いに期待さてくれる面もある。


それに、そもそもバランスを取ろうとしてる
という話はちょろちょろ聞いてるけど
その段階ですらどういう具合に調整してるかも
まだわからないんだしね。


まあ、こうやって、杞憂を過剰に働かせでもしない限り
今回はあんまり不安になる要素はない
とも言えるのかもしれない。

もう一つの解決策

ちなみに、実は飽和したクラス問題の解決策として
もう一つの方法というのもある。


何かというと、もっと飽和させて
かつクラス間のバランスを取るのを放棄するという手。


要するに重要なのは全体のバランスと選択なので
あえて使えないクラスや意味のないクラスまで増やして行き
そしてその上で鉄版を歩くのも地雷を踏むのも
プレイヤーの好みでどうぞというコンセプトだ。


これはクラスバリエーションの豊富さという華やかさに加え
あえて歪なクラス間のバランスによるコントラストがあるという贅沢な作りで
FEやFF5ロマサガ2辺りが走りだったんじゃないかと思うけれど
昨今のcRPGは実はこの手の方向というのは多い。
# 特にSRPGになると、ゲームの性質上その傾向が強まる。


ただ、これは『世界樹の迷宮』が最初に目指したストイックさとは真逆ではあるし
実の所、『世界樹の迷宮』はこの方向をスキル制というシステムとして
ある意味内包しているので
そこにさらにクラスもそれに倣うと
全体としてみた時に非常に散漫になってしまうので
あまりよろしくないかな、と思う。
# 個人的な好みでいえば『世界樹の迷宮』には
# できればそういう方向には進んでほしくない、という思いはある。


それに『世界樹の迷宮2』の話に限れば
まだそれをやるにはクラスが少なく
といって厳密なバランスを取るには飽和している
と、中途半端な状態なので
今が一番難しい段階にいるんじゃないかな。


今回とそして今後、そういう点で
世界樹のバランスをどういう方向に舵を取っていくのか
興味深い所です。

シェルはゴーストを喰らう

この話はクラスデザインで重要なのは役割の分担であって
クラスのイメージではないというような事を
前述の『世界樹の迷宮』の職業の話の時に書いたんだけど
初めてそのゲームをデザインする時は
それに従って思うようにクラスデザインができるんだけど
シリーズが続くとそうはいかなくなるという事でもある。


シリーズをシリーズとして続ける、というのは
前作からの継続したユーザーに向けてゲームを作る部分があり
それぞれのユーザーの前作への思い入れを極端に裏切る事はむずかしい。


世界樹の迷宮』のファンには
すでにブシドーのファンだったり、レンジャーのファンだったり
個々に形成された思い入れがあり
そこに新たに何かを加えるのに比べて
削っていくという事を困難にしていく。


特にプレイヤーの思い入れは
具体化しにくい役割よりもイメージに強く引きずられ*1
個々の思い入れが入り混じる事によって
増えるのはいいが減るのは嫌だという
貪欲な嗜好を生むことになり拘泥し、ただ徒に拡大していく。


そうして、固定化したクラスは
その改変しがたいイメージが既にあるために
クラスの役割への融通を膠着させ
拡大していくクラスは
すでに飽和している他の役割と棲み分けができず、役割を侵食する。
結果として、クラスイメージは先行して強まっているのに
クラスにおける役割の境界はぼやけてしまう事になる。


クラスの役割はクラスイメージを生むが
やがてそのイメージは役割を縛る枷になるのだ。


世界樹の迷宮2』は前作『世界樹の迷宮』を
ブラッシュアップさせていくというスタンスを取り
それは基本的によりよい安定をもたらすものであるだろうけれど
ブラッシュアップにおける何かを足す安易さに対して
何かを引く困難さを浮き彫りにする事になるのではないだろうか。


昨今のゲームの風潮からしてゲームが
拡大して装飾過多になっていかざるをを得ないのかもしれないけど
それをリセットしようとした『世界樹の迷宮』も
シリーズを続けていくとなると
結局はその波にのらざるを得ないのかな、と思うと
色々複雑な物を感じますね。
最初に、システム面での改善への安心感があるのが
続編ならでは、と書いた事もあわせて考えるとなおさらです。

ポジティブに割り切らないとね

とは言っても、ゲームの楽しさはバランスのみに集約されるものでもないので
あまり言ってもしょうがないところ。


ゲームとしては散々言ってるけど、テンポがよければそれでいい
といった面もあったりしますし。
拡大した華やかさは
それ自体が快感を生んだりもしますし。


面白く仕上がってたら、
結局はそれはそれでいいというのが
ゲームとしては全てなんですけど。


結局は私が世界樹
何かストイックさを求めすぎてるきらいがあるだけなのかもしれません。

*1:私なんかは、とにかくニューカーが好きで
ニューカーだったらそれが何であってもいいとか変な嗜好があったりしますが。
やっぱ、****というクラスが好きとかのが判りやすいんだろう。
よく見かける妄想とかで新しいクラスのみても、素手で戦う職とか
そういうまずイメージありきみたいなのが多くて
それはゲームやパーティでどういう役になるのか
他とどれだけ差別化できるのか、とかは後回しみたいだし。
# ガンナーってその最たる感じに見えるんだけど、どうなんだろう。