難しさとはクリアしたときの充足感のためにあるのであって、難しさ自体には価値はない。(『世界樹の迷宮』レビュー6 難易度と負担について)

レビューの6つめ。
世界樹の迷宮の難易度について。
といっても、Wizとの比較でも
世界樹の迷宮』の難しさがどういう難しさなのかと言う事は書いたので
今回は難しさの質ではなくて、難易度の高低について。


世界樹の難易度はインタビューでも言ってるように
序盤をピークに徐々に下がって行くように意図的に作られている、との事ですが
実際にやってみても、その通りな感じです。


これは上記のインタビューでの理由もあるでしょうけど
そもそも3DダンジョンRPGの難易度というのは
そういう形に調整するのが理想じゃないかと思います。


というのも、この場合の難易度というのは
戦闘に関する難易度のことなんですが
3DダンジョンRPGでは後半に進むにつれて戦闘以外での負担
特にマッピングの負担が増大するからです。


ゲームが進行していくにつれて
ダンジョン自体も広く複雑になり
さまざまな趣向が盛り込まれて行くと
単純にダンジョンの攻略自体に手間と時間が増えるのみならず
3Dダンジョンでは(例えオートマッピングであっても)
それをマッピングする手間は
2Dダンジョンに比べて飛躍的に増大していきます。


これはダンジョンRPGというものが
敵を倒してクリアしていくのと同時に
ダンジョンを攻略していくということに
ゲームのウェイトが置かれているために発生することでもあり
強い敵を倒すのと同様広大なダンジョンを制覇することで
充足感を与えられるゲームになっているからでもあります。


もちろん、3DダンジョンRPGであっても
後半のマップを狭くシンプルにしてしまう事を
やってやれないわけではないのですが
そうするとそのゲームがダンジョンRPGである意味がなくなります。


そうやってダンジョンの攻略自体への負担が増大していく中で
敵の強さも同じように比例的に増大していくと
プレイヤーの負担は止め処なく増大することになります。


もれなく『世界樹の迷宮』でも
ダンジョンは後半に行くほど複雑になっていくので
それに合わせて敵もずっと強いままでは
一つのフロアをクリアするのが苦痛になってしまうので
それに合わせて、戦闘での負担を減らすのは理に適う事です。
# 戦闘での刺激の面はインタビューにもあるようにf.o.e.で補えますし。


またB18Fなどフロアの構成がシンプルであれば
比較的強力な雑魚敵が出るようになったり
階層が新しくなり、モチベーションが高まるのを
一つの区切りとして敵の強さをぐっと押し上げたり
回復ポイントのあるフロアから
同じ階層でも敵の構成が変わり強くなったりと
敵の強さの変化もダンジョンの構成に合わせた
合理的で理に適った変化になっています。


特に階層が新しくなったら敵がぐっと強くなるのは
ゲーム開始時のモチベーションが高い段階に難易度の山があるのと同様
階層が新しくなってモチベーションが高まっている時に
難易度の小山を持ってくる形になっていて
全体での難易度の変遷を階層ごとに小さく反復しているともいえます。

難易度と負担

ここでちょっと負担と難易度の違いについて言っておきます。
難しさとは一面的にはプレイヤーに対しての負担ではありますが
これは常に一定の負担であり続けるわけではありません。


一般的にゲームは進行すればするほど
難易度も上昇するというモデルを取ることが多いですが
これは同時にプレイヤーもプレイすればするほど上達していて
# いわゆるRPGなどではキャラクターの成長もこれに加味される。
クリアに対する負担は必ずしも増大しているわけではなく
むしろ、プレイにおける負担を一定に保とうとしているからです。


そしてゲームのクリアにあって
ゲームの難易度の上昇の方が早ければ
そのゲームはプレイヤーにとってクリアが困難なゲームであり
プレイヤーの上達の方が早ければ
そのゲームはプレイヤーにとってやりがいがなくなり
どちらにしろプレイする意欲を失わさせる要因になります。


もちろん、必ずしもゲームの難易度の上昇とプレイヤーの上達は
厳密に平衡しているわけではありませんが
基本的には均衡することが望ましく
この格差が開いていくと、それはどちらにしろ負担の増大になり
許容量を超えるとプレイの続行を阻害します。


世界樹の迷宮』はさらに3DダンジョンRPGとして
難易度以外のダンジョン攻略での負担というものがあり
これは慣れなどでいくらかの軽減はありますが
基本的に広さに依存していて軽減し難いものなので
戦闘の難易度を抑える事で全体の負担が
一定を超えないよう釣り合いを取っている感じです。

クリア後

B26Fからは色々きつめではありますが
これはまあクリア後だからとりあえず特別ということで。